「家ではおしゃべりなのに、外では全然話さない…?」もしかして“場面緘黙”かもしれません
2025.04.01

1. はじめに:「どうして話さないの?」と悩むあなたへ
「家ではたくさんおしゃべりするのに、幼稚園では一言も話せない」
「先生に呼ばれても返事ができない。無視しているように見えてしまう」
「大きな声で泣いたり騒いだりはしないけど、ずっと静かで心配…」
そんなお子さんの様子に、「性格の問題?」「恥ずかしがり屋なだけ?」と戸惑っていませんか?
もしかすると、それは「場面緘黙(ばめんかんもく)」と呼ばれる状態かもしれません。
これは一時的な“人見知り”とは違い、**「話したいのに話せない」**という強い不安からくる、心のサインです。
2. 場面緘黙とは?
✅ 定義と特徴
場面緘黙(Selective Mutism)とは、家庭など安心できる場所では普通に話せるのに、学校や園、公共の場など特定の状況になると極度の緊張や不安から声が出せなくなる状態です。
- 決して「わざと黙っている」「無視している」のではありません
- 話そうとしても身体がこわばり、声が出ないのです
- 周囲からは「おとなしい子」「内気な子」と見られやすく、理解されにくいことも
✅ 年齢と発症のタイミング
多くの場合、3〜6歳ごろに初めて現れます。
入園・入学といった環境の変化がきっかけになることもあります。
「赤ちゃんの頃から静かだった」というよりは、「ある特定の場面でだけ急に話さなくなった」という形で気づかれることが多いです。
3. こんなサインがあれば要チェック
以下のような様子が続いている場合、場面緘黙の可能性を考える必要があります。
- 家では家族とたくさん話すのに、園や学校では一切話さない
- 授業中や朝の会で名前を呼ばれても返事ができない
- 友だちと遊びたい気持ちはあるのに、言葉で関わろうとしない
- 緊張の場面で固まったり、顔がこわばる、表情が乏しくなる
- 質問に対してうなずきやジェスチャーでしか反応しない
「慣れたら話せるようになるよ」と様子を見ることも大事ですが、半年以上同じ状態が続いていたり、園生活や友人関係に支障が出ている場合は、専門的なサポートが必要です。
4. どうして話せなくなってしまうの?不安が強い子どもの心の中
場面緘黙は、不安症の一種と考えられています。
「自分の声を聞かれるのが怖い」「うまく話せないかもしれない」という強い不安が、身体の緊張として表れ、声が出なくなってしまうのです。
背景にあることが多い要因
- 気質としての不安の強さ(もともと緊張しやすい、慎重)
- 発達特性(自閉スペクトラム症や感覚過敏など)
- 過去の経験(からかわれた、注意された経験がある)
- 言語発達の遅れや吃音などのコミュニケーションの困難さ
本人の“意思の弱さ”や“性格のせい”ではありません。
5. 家庭でできる関わり方とサポートのヒント
✔ 急かさない・責めない
「ちゃんと返事して!」
「何で話せないの?恥ずかしいでしょ!」
そんな言葉は、子どもにとってさらなるプレッシャーになってしまいます。
「声が出ないのも、大丈夫」
「話せるときが来たら、少しずつでいいよ」
という、安心できる関わりが何よりも大切です。
✔ ジェスチャーやカードなど、非言語のコミュニケーションを活用
言葉以外の手段(うなずき、指差し、絵カード)で気持ちを伝えられるようにすると、安心感が増していきます。
✔ 小さな「できた!」を大事にする
「目を合わせられた」「友だちに手を振れた」
そういった小さな進歩を見逃さず、本人の自信につなげていきましょう。
✔ 環境調整もポイント
- 落ち着ける空間づくり
- 人が少ない場所での練習
- 決まった大人との関係づくり(信頼できる担任や支援員との連携)
6. 専門機関への相談のすすめ
「様子を見ていたけど、なかなか変化がない」
「他の困りごともある(感情の起伏、こだわり、不登校など)」
「保育園や学校で困っていると言われた」
そんなときは、ひとりで悩まず、専門家と一緒に考えてみませんか?
METKIDS新百合ヶ丘でできること
- お子さんの様子のていねいなヒアリング
- 発達特性や不安傾向のアセスメント(発達検査など)
- ご家庭・園・学校と連携した支援のご提案
- 「無理に話させない」支援の考え方と具体的アドバイス
「すぐに治す」ではなく、「その子が安心して過ごせる環境をつくること」が何より大切です。
7. よくある質問Q&A
Q:自然に治りますか?
A:環境や関わり方によって徐々に話せるようになる子もいますが、長期化するケースも多いため、早めの支援が効果的です。
Q:発達障害と関係あるの?
A:直接的な関係はありませんが、発達特性(ASD・感覚過敏・言葉の遅れなど)が背景にあることもあります。
Q:園や学校にはどう伝えればいい?
A:診断がなくても、「話したくないのではなく、話せない状態であること」を共有することが重要です。サポートのヒントも一緒に伝えると◎。
8. 最後に:その子の「声」を信じてあげてください
話せないことは、決して「わがまま」でも「性格の弱さ」でもありません。
声に出せない気持ちの奥には、「わかってほしい」「安心したい」という大切な願いがあります。
お母さん・お父さんがその気持ちに寄り添ってくれるだけで、子どもの心は少しずつほぐれていきます。
そして、「話せる日」は、必ず来ます。
METKIDSクリニック新百合ヶ丘では、場面緘黙をはじめとした心の困りごとにも、丁寧に対応しています。
「ちょっと気になる」「一度話を聞いてみたい」——そのお気持ちを、どうぞ大切にしてください。
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そんなお気持ちを大切に、METKIDSクリニック新百合ヶ丘では初診のご予約を受け付けています。
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