“困った行動”の背景にある脳の仕組みとは?発達障害を科学的に理解する
2025.05.12

こんにちは!神奈川県新百合ヶ丘にあるMETKIDSクリニック新百合ヶ丘です。今回は、「“困った行動”の背景にある脳の仕組みとは?発達障害を科学的に理解する」についてお話をしていきます。
お子さんの「なんでそんなことするの?」という行動。実は脳の働きが関係していることがあります。その背景を知ることで、見方も関わり方も変わってきます。
目次
- “困った行動”の正体とは?
- 発達障害と脳の関係
- 脳のどこがどう違うの?
- 実生活で表れやすい脳の特徴
- 科学的な理解がもたらす家族の変化
- 最後に
- 🌱初診をご希望の方へ
“困った行動”の正体とは?
日常生活の中で、突然大声を出したり、すぐにかんしゃくを起こしたり、順番が守れなかったりと、親御さんが「これは困ったな」と感じる行動には、実は理由があります。よくある誤解のひとつが、「わがままだから」「しつけが足りないから」といった捉え方です。しかし、こうした行動の背景には、子ども自身がコントロールしきれない“脳の特性”が隠れていることが多いのです。これは大人が努力してもどうにもならない「個性」や「癖」ではなく、「神経のネットワークの働き方」によって起こる現象だと、近年の研究でわかってきています。
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発達障害と脳の関係
発達障害とは、脳の働き方や情報の処理の仕方に違いがあることからくる、発達の偏りを指します。たとえばASD(自閉スペクトラム症)の場合、他者の感情を読み取るのが苦手だったり、強いこだわりがあったりします。ADHD(注意欠如・多動症)では、不注意や衝動性、多動といった特徴が見られます。これらは「本人の努力不足」とはまったく関係がなく、脳内の情報の伝達スピードや、刺激に対する反応の仕方が異なることで起きるものです。つまり、脳の“得意・不得意の傾向”が、日常生活において困難をもたらしてしまうのです。
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脳のどこがどう違うの?
たとえばADHDの子どもたちの脳をMRIで見ると、「前頭前野」と呼ばれる部分の活動が通常よりも弱く見えることがあります。前頭前野は、感情のコントロールや注意の集中、行動の抑制を司る重要な領域です。またASDの子どもでは、脳内の「ミラーニューロン」という、人の行動を見てまねる働きを担う神経細胞がうまく機能していないとする研究もあります。このように、脳の構造や活動のパターンに科学的な違いがあることが、近年の神経科学の進展により少しずつ明らかになってきています。
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実生活で表れやすい脳の特徴
脳の働き方の違いは、日常の何気ない場面にもあらわれます。たとえば、複数のことを同時に指示されたときに混乱してしまう子がいます。これは「ワーキングメモリ」と呼ばれる短期記憶の働きに負荷がかかっているためです。あるいは、急な予定変更に強い拒否反応を示す場合は、「予測」と「準備」の力が弱く、不安や混乱が強まってしまうからです。こうした背景を知らないと、「頑固だ」「気分屋だ」と誤解されがちですが、脳の仕組みを知ればその子の“困った行動”がまったく違った意味を持って見えるようになります。
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科学的な理解がもたらす家族の変化
脳の仕組みと行動の関係を理解することは、子どもを「困った子」と見るのではなく、「困っている子」と見る視点の転換につながります。そして、無理に型にはめるのではなく、特性に合った対応を選ぶことができるようになります。たとえば、「何度言っても伝わらない」ことにイライラする代わりに、「視覚的に示したほうが理解しやすい」という工夫に変えることができます。このように、科学的理解は家庭のストレスを減らし、子どもの自己肯定感を守る大きな手助けになります。
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最後に
「うちの子、他の子とちょっと違うかも」と感じるとき、それは子どもからの大切なサインかもしれません。脳の働きには人それぞれ違いがあり、それは「間違い」でも「病気」でもなく「特性」です。困った行動の背景を科学的に理解することで、子どもへの関わり方が優しく、前向きなものに変わります。METKIDSクリニック新百合ヶ丘では、そんな保護者のみなさまの悩みに丁寧に寄り添い、一緒に考えていくお手伝いをしています。
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🌱初診をご希望の方へ
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